009-0032

把手付水瓶

Detailed Explanation

 仏陀の生涯を描いた「仏伝図」に「潅水」の場面を表した物がある。
潅水とは釈尊誕生後、その体を浄めるため温冷二種の水を頭からかける儀式である。
北部パキスタンのスワートで出土した「誕生と七歩行」の場面を表したある仏伝図には、潅水に備えてブラフマー(梵天)が左手に水瓶を持っている様子が描かれている。
この水瓶はこれと非常によく似ている。
注ぎ口が象の鼻の形になっていて、肩の部分に当時使われていたカロシュティー文字が刻まれている。
この水瓶と44~50の銅製品は、1980年代にスワート地方の横穴で共伴して発見されたとされる。
更にもう一点、青銅製の香炉も発見されたが、それは現在、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されている(Stone 2004)。
尚、この水瓶は全体の器形を把握するために別個体の同様の部位を接合したものである。

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